暦 その6

        〜2月に閏日が入る理由〜


前回のおさらいをしよう。

ヌマ暦では、各月の名称を以下のように設定していた。



・1の月 『Martius(マルティウス)』    軍神(マルス)の月      
・2の月 『Aprīlis(アプリーリス』     開花の月         
・3の月 『Māius(マイユス)』       成長の女神(マイユス)月 
・4の月 『Jūnius (ユーニウス)』     繁茂の女神(ユーニウス)月
・5の月 『Quīntīlis(クィーンティーリス』 第五の月
・6の月 『Sextīlis(セクスティーリス)』 第六の月         
・7の月 『September(セプテンベル)』   第七の月         
・8の月 『Octōber(オクトーベル』     第八の月         
・9の月 『November(ノウェンベル)』   第九の月         
・10の月 『December(デケンベル』     第十の月         
・11の月 『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』  第十一の月 
・12の月 『Februārius(フェブルアーリウス)』 第十二の月 


の12ヶ月で運用されていた。


んで、このヌマ暦。
実はこいつがカナリの曲者。
幾度も暦の改正が加えられのである。



そのうち最も大きな改暦は紀元前153年に行われた。
この年の1月から年の始まりが第1の月で無くなった


意味が分かりにくいだろうから、具体的に。
普通年明けは第1の月である『Martius(マルティウス)』だ。
しかし、この年の1月1日から
第11番目の月『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』を年明けにすると変更された。



つまり、一年を以下の通りに並び替えたのである。


・1月(元11の月) 『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』  
・2月(元12の月) 『Februārius(フェブルアーリウス)』  
・3月(元1の月) 『Martius(マルティウス)』        
・4月(元2の月) 『Aprīlis(アプリーリス』            
・5月(元3の月) 『Māius(マイユス)』        
・6月(元4の月) 『Jūnius (ユーニウス)』    
・7月(元5の月) 『Quīntīlis(クィーンティーリス』
・8月(元6の月) 『Sextīlis(セクスティーリス)』         
・9月(元7の月) 『September(セプテンベル)』            
・10月(元8の月) 『Octōber(オクトーベル』              
・11月(元9の月) 『November(ノウェンベル)』           
・12月(元10の月) 『December(デケンベル』     





個人的には意味不明の改正……いや
むしろ混乱をきたすだけの改悪のように思えるのだが
ローマ政府にも言い分があるようで、


曰く
第11の月たる『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』はヤヌス神の事だ。
扉の神ヤヌスはえらいので、『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』の始まりを1年とする。


とかなんとか。



実際、ローマの役所も、第11の月『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』が仕事始めだったらしい。
こんな所でも、お役所パワーがw


こうして、月の意味と実際の並びにずれが
すなはち、月の順序と月名にずれが生じたのである。
これをズルズルと引きずって現代に至るのである。


なんとも笑えない、お役所パワーです





ちなみに、現代では閏年は2月に挿入されます。
当たり前のようですが、
初期ヌマ暦改は、最後の月に設定されました。
つまり12の月である『Februārius(フェブルアーリウス)』の後に導入されいました。



この紀元前153年の改正で
『Februārius(フェブルアーリウス)』が2月となってしまった*1が、
改正以後も、この風習が残り
そのため、2月に閏日が入るのですね!



……To Be Continued その7へ続く

*1:『Februārius』つまり、現在の『February』2月