サドンデス


どこかの作家が言っていたが
人生とは、良いカードを手に持つことでなく、
持っているカードを上手く使うことにあるそうだ。
考えてみれば、きちんと予定を立ててお膳立てしてから
臨める事なんてほとんど無い。
唐突にやってくる。




それはいつもの乗換駅。
いつも乗り換え電車がすぐに発車してしまうので
小走りで人混みをすり抜けて、階段をおりる。
電車はすでにホームにきておりいつ発車するから分からないので
慌てて電車の最後尾に乗り込むがドアはまだ閉まらない。
どうやらまだ発車しないらしい。
やれやれと一息ついたところで、いつもと雰囲気が違うことに気がつく。
輪ができている。
人混みはある部分を中心にしてブツッととぎれて、誰もいない空間ができている。
次々と車内に駆け込んできた人は、辺りを見回して身の置き場を探し
人でごった返すドア付近から離れ人の居ない方へ移動するのだが、
輪のところに着くと皆一様に足を止めるのだ。


気になって少し移動して、頭をそちらに向けると私に状況が分かった。
人が居た。チェックのシャツを着た髪の長い女の子だ。
きっと高校生ぐらいだろう。
眉をいじっている風でもないし、閉じている目も化粧した様子はないし、
頬も白くて色がついていない。
ただ、あまりにも白すぎる。
健康な人間の色じゃない。所謂 蒼白 というやつだ。
そして彼女は床に横たわっている。




思いがけず出会ってしまった私は
どのカードを切るべきだったのか。