読書感想文未満


「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
と、兵十の台詞でラストを迎える「ごん狐」。



この作品は、いたずらをした狐といたづらをされた人間のおはなし。
結構有名な話しなので、知らない人はいないだろうけど↓ここ読めば分かる。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/628_14895.html



この広く知られている「ごん狐」には別の話がある。
というのは、広く知られている話しは、鈴木三重吉と言う人が編集し手を加えたもの。
彼のオリジナル作品は「権狐」というタイトルで、別の文学作品として本に収録されている。



個人的には「ごん狐」より、オリジナルの「権狐」の方が好きである。
読み比べは↓このサイトでできるので是非読んで比較して貰いたい。
http://www.d1.dion.ne.jp/~ueda_nob/authors/nankichi/gongistune.html





最大の違いはエンディングだと思う。
狐が撃たれ、倒れた後の部分。
ごん狐のラストは
「ごんは、ぐつたり目をつぶつたまま、うなづきました。」
となるのだが


オリジナルの方は
「権狐は、ぐつたりなつたまゝ、うれしくなりました。」となるんですよ。




こりゃ大きな違いですよ。



悪戯を止めて、良いことをした。
その事を知ってもらうことができて、狐はどう思ったのか。
「ごん狐」では知ることができない。




贖罪だけが狐にとってのすべてじゃなかった。
悲しい話しだけど、それだけでも救われとは思いやしませんか。