インソムニア


私は寝付きが良い。
のび太君ほどの才能は無いが、布団に潜ったら間もなく眠りにつく。
そして一度寝てしまえば、まず夜中に目は覚めない。
便意を催し起きることも、物音に気がついて意識が覚醒する事もまずない。
のみならず、日が昇り朝を迎えようが、一向に起きる気配をみせない。
携帯の目覚ましを6時にセットし、5分間隔でアラームが鳴るようスヌーズ設定してあるが、
6時30分になっても「アラームが鳴り続けている」事にすら気がつかない日も珍しくない。



床に就けば、起きることなく眠り続けられる。
寝起きの悪さという一点を除けば、それは極めて優れた才能である。



質の悪い睡眠、すなわち寝入りが悪く、夜中に何度も目が覚め、
周囲が明るくなると布団の中に居れない人達のために用意された
様々なノウハウを必要としない。
不眠症に悩む事は、私においてはあり得ない。



そして、この「質の良い眠り」に最も感謝するのは、
3時間程度の睡眠時間の日々が連続して来る時である。
この性質のおかげで、毎日寝る時間が少なくても普通に暮らせるのだと
今更ながら感謝している。





そして、今日も寝床にその身をよこたえ
夢など一切見ずに、目覚めぬ朝を迎えるのである。