かなしみ


  あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
  何かとんでもない落とし物を
  僕はしてきてしまったらしい
  透明な過去の駅で
  遺失物係の前に立ったら
  僕は余計に悲しくなってしまった

           
               谷川俊太郎