暦 その8

   〜後期 ユリウス暦


1年 365日。
4年に1度がモットーのユリウス暦
精度が高く、良くできたカレンダーである。
導入したユリウス氏は、そりゃ明晰な逸物だったのでしょう。
その他大勢、一般の俗物とはエライ違いです。


なんせユリウス氏の死後の後任者は
誤って閏年を挿入しちゃうくらいですから。




つまり3年に1度を閏年にしてしまい暦が変になってしまったのです。





その事態を解決すべく、立ち上がったのが
時のローマ皇帝アウグストゥス*1である。
彼は紀元前8年から数年間、閏年を停止することにより
日程を調整。
紀元後8年からは、正しく4年毎に閏日が挿入を開始した。
これにより暦は修正され、忠実に時が刻まれる事となる。





しかし、これでとどまる事が出来ぬのが人の性。
この偉大なる功績を目に見える形で残さねばならぬと
負けず嫌いの王は思います。


想像してください。
彼は負けず嫌いで有名な王



「一般人のユリウスの名が暦にあるのに、何故王である私の名が無いのだ」と




つまり、彼もまた自らの名をカレンダーに刻んだのです。




彼は誕生月であった8月の名称を、自分の名前に変更
8月は『Sextīlis(セクスティーリス)』から
『Augustus(アウグストゥス)』になってしまった。






さらにさらに
ユリウスの名を冠した7月に負けないように
30日の小の月であった8月に、1日加えて31日の大の月とした。
このままでは1年が1日多くなってしまうので、
2月から1日を取り、28日とした。



   ↓説明しよう
   初期型ユリウス暦の7月は31日ある大の月
   に対し、8月は30日しか無い小の月

  
   「ユリウスの月に負けてなるものか」と、8月を1日増やし31日の大の月に。
   8月を勝手に1日増やしたので、1年366日になってしまう。
   それなら、29日しか無い中途半端な2月は1日減らしてしまおう。
      という塩梅なのである。






さらに、このままでは、
7月は31日
8月は31日
9月も31日
とバランスが悪くなってしまうので。
9月から12月の大の月・小の月を逆さまにしてバランスを保ちました







アウグストゥスの改暦以降



・1月(31日) 『Jānuārius(ヤーヌアーリウス)』  
・2月(28日) 『Februārius(フェブルアーリウス)』  
・3月(31日) 『Martius(マルティウス)』        
・4月(30日) 『Aprīlis(アプリーリス』            
・5月(31日) 『Māius(マイユス)』        
・6月(30日) 『Jūnius (ユーニウス)』    
・7月(31日) 『Julius(ユリウス)』
・8月(30日) 『Augustus(アウグストゥス)』        
・9月(30日) 『September(セプテンベル)』            
・10月(31日) 『Octōber(オクトーベル』              
・11月(30日) 『November(ノウェンベル)』           
・12月(31日) 『December(デケンベル』     

      注:太文字部部は旧ユリウス暦からの変更部分。





となった。
便宜上、これを私は「後期ユリウス暦」と名付ける。


以後、現代の名称と日数は、後期ユリウス暦を由来とする。



名称の意味が、実際の数字と違う原因
2月に閏年が入る理由
大の月と小の月の規則性のなさ


はこんな歴史があったからなのである。





  ……To Be Continued? その9に…………続くのか?

*1:ローマ表記「Augustus」(アウグストゥス