無名仮面人名簿

無名仮名人名簿 (文春文庫)

無名仮名人名簿 (文春文庫)



本を読むのは好きだけど、詩集やエッセイというのはとんと読まなかった。
嫌いなのではなく、自分には敷居が高い気がして気のりがしなかったのだ。
詩人といえば小学校の教科書で読んだ谷川俊太郎しか浮かばないし
エッセイストなど知る由もなく、誰の名も挙げられなかった。
件の向田邦子も「聞いたことがある」程度の認識で、
エッセイを書く人だったとはつゆ程も知らなかった。
だから「ムコウダクニコは文章が上手いと思う」
と聞かなければこの本を手にはしなかった。
ねえさんのオススメの本だそうなので
ページをめくる前から読むのが楽しみだった。



読み終えた感想は「ディスカバリー(再発見)」である。
1つ10頁足らずの短いいエッセイの中には、私との「視点の違い」で溢れていた。
普通だった気にもとめない仕草や様子をよく注意して見ている。
指摘されなければ気がつかないけど、
読むと「そうだな」と思わず納得してしまう。
それに、向田さんのユーモアが時々ツボにはまった。
堅苦しい文でなく、喋る時のような普通の文章なので
すらすらと読めました。
つまり、とても面白かったのです。