管鮑(かんぽう)

杜甫はうたう
「君見ずや管鮑(かんぽう)貧時の交わり」


中国春秋時代管仲(かんちゅう)と鮑叔牙(ほうしゅくが)の関係を読んだ詩だ


幼きころより親しき仲だった二人。
あるとき彼らは共同で商売をする。
その儲けのほとんどを管仲がもっていってしまった。
そのとき鮑叔牙は「管仲は貧乏だから仕方がないことだ」と彼を許す。


あるとき、管仲が鮑叔牙のためにしたことが
かえって鮑叔牙の状況を悪くしてしまった
そのとき鮑叔牙は「時の運だ。彼が悪いわけではない」
と彼を擁護した。


あるとき、鮑叔牙が斉国天子の子の御守り役になった。
そして、この子の兄の御守り役が欠員になったとき
彼は真っ先に管仲を推薦した。


そして天子二人の子は、やがて国主を争うにいたる。
兄を擁する管仲が破れ、鮑叔牙側が勝利し、国主に弟がついた。
このとき、鮑叔牙の推薦で敗者である管仲を登用。
しかる後に、自分の位を下げてまでも、管仲を最も位の高い宰相の地位を譲った。


これがいわゆる管鮑(かんぽう)の仲である。






この話を読んで私は痛く感動した。
今の世に、こんな人間がいるのだろうか。
なんと真にすばらしい友人ではないか。


わたしの周りに‥‥いや、あなた達の周りには
このような友人が果たしているのか。
管鮑(かんぽう)の仲と呼べる友人を私はいつか持ちたいと
つくづく思うのである。