悲しみの時計少女


 自分が腕時計をしていない事を知って、私は本当に驚いた。
なにしろ私は夜寝るときでさえ時計をはずさないほどの時計中毒患者なのだ。
今が何時なのか、いつもいつも確認していないと不安になる。
 ああ時刻。正確な時刻が知りたい。

               「悲しみの時計少女」谷山浩子




腕時計と携帯を家に置いたまま、仕事に出てしまった。
携帯を忘れても何ともないのだけれど
時計を忘れたのは非常につらかった。



通勤の道中
私は基本的に始発電車にのり、座って爆睡している。
大概は1、2度目が覚める。
そんな時は時刻を確認して
電車がどの辺りを走っているか確認する。
しかし、今日は左腕を見ても時計が無い。



仕事中
私の腕時計は
時刻の外に「日付」と「曜日」も知ることができる。
窓口で受付日を記入したりする際は
必ず文字盤をのぞきこみ確認をするのだが
今日は左腕を見ても時計が無い。



大学の講義中。
人が継続して集中出来る時間なんてたかがしれてる。
自分の好きなことならともかく、
1時間30分も集中し続けられるはずがない。
仕方なく、左腕に目を落とすが時計が無い。




いつもいつも確認しようとするけど
今日は時計がない。